携帯に埋まってた殴り書き。
創作というかなんというか……だけど、まあ未公開創作の類かなと。



『ほら、これで俺の腕がパンパンに腫れれば一緒だよ』
『お揃いだね、―――』
　人の形を保てなくなり始めた人外の少女のために、手の平大の石を掴み自身の腕を殴りつける少年。流れ出る血が腕を赤く染めてもなお、がむしゃらに。

　少女を慕うが故に少年を敵視し、少女が自身から離れてしまうことを恐れる子供。皆が寝静まったあと、少年と同じように手にした石を振り上げた子供はけれど、少年のようにはできなかった。
『……っ……』
　かすり傷とも言えないほどの、傷らしい傷もつかない腕を見下ろし、子供は顔を歪めた。



「……生半可な覚悟じゃできないよ」
　特に意識したわけでなく、言葉は口から滑り出た。
　自身を傷付けるという行為にも、痛みを予想して竦む体にも、惨めなほど小さな傷に絶望する心にも、覚えがある。どれもよく知っている。だからだろうか、テレビから流れる映像に、ほとんど無意識に反応したのは。
　子供が起き出して石を手にした瞬間なにをするつもりなのかわかったし、結果が子供の望むようなものにならないことも、当たり前のようにわかっていた気がする。あるいは、自分自身と重ねていたのかもしれない。
　けれど同じ苦しみを味わう子供に、情は動かなかった。私達はそうやって生きていくのだと、すでにどこかで理解していたからかもしれなかった。



　――2010/02/09 01:40

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