「何もしなくていいじゃん」と家族は言う。
どの程度口に出しているのかは定かでないが「何かしなくちゃ」と常に焦りを感じて思っている私に家族は言うのだ。「何もしなくていい」と。
だけど私は何もしない事を自分に許せなくて、実際何かの役に立つかどうかとかなんてのは関係なく「何かしなきゃ」と思う。
何かしていても、夢中になってふと我に返って時間経過に気付いた瞬間のどうしようもない焦りや苛立ちは消せないのだけど、何もせずにただ亡羊と過ごしたあとの後悔や焦りよりは幾分かだけでもマシな気がするから。無為に時間を過ごす自分を許せないから。
だから私は常に自分に何かを強いる。それは趣味の範囲での調べものであったり、少しだけでも家族の役に立つ……というよりは便利・楽だと思うような雑用の類であったり。
やりたい事もやればいい事も沢山ある。
だけど私はそれをしようと思えない。勢いなんてなく、ただ惰性でズルズルと動くだけ。そうして後悔と恐怖に頭を抱える。

家族は「何もしなくていい」と言ってくれる。
「これ以上我慢なんてご免だ。これからは我侭にやってやる」と思ったことがある。
その言葉に素直に従えるなら、自分の感情的な想いのままにできたら、こんなに苦しくなかったんだろうか。

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