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“Broken heart”
2008/12/12 13:17 (Fri) - 創作メモ
「時々、家も学校も友達も……全部、放り出してしまいたくなるの」





 初めて、人に心の内を話した瞬間だった。
「何も考えずに、何もせずに、目も耳も口も閉ざして外の世界を遮断して、そのままいつか死ぬときを待っていたくなる」
 できはしないとわかっていても、求めてしまう。そうできたらどんなに幸せだろうと。
「でも私は変なところで責任感が強いらしくて、やっぱり結局できないのよ。私がそうしてしまったら、あの家はきっと、あっという間に壊れる。――自惚れだと思うでしょうけどね」
 そうだ。どう考えたってそんなの、自惚れでしかないと思うだろう。――普通なら。
 だけどあの家は普通なんかじゃないのだ。世間体とか、周りの目を必要以上に気にする母親のおかげで形だけはそれなりに整えられ、大きく逸脱してはいないけれど、その中身は酷く醜い。
「誰かが衝突するたびに間に入ってフォローして。衝突しないように、いつも家族全員の言動に気を配って。私に関係なくても、家族が話してれば自然と聞き耳を立てるのが癖になったわ」
 そうやって私がバランスを取らなければ、あの家は崩れてしまうだろう。
 もしかしたら崩れても何とかなるのかもしれないけど、そこに巻き込まれるのは御免だ。
「だから私は逃げる事はできない。それでなくても危ういバランスを、自分から壊すなんて、ね」
 家も。(帰る場所、家族。私の根本を成す部分)
 学校も。(社会的立場。被保護者である私の責務)
 友達も。(精神的支柱。『外』と繋がる大きな道)
 全て捨ててしまいたいと思うのは嘘じゃない。だけど、捨ててはいけないのだと、私の中の何かが叫ぶ。
 そして、そう思ってしまう限り、私はやっぱり逃げられはしないのだ。

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